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カレンダー  :  市根井孝悦山の世界 母なる大地大雪山カレンダー  :  2009  : 


1 番〜 8 番を表示 (全 8 枚)


00.表紙 朝日に輝くニペソツ山

00.表紙 朝日に輝くニペソツ山

 六月下旬、新緑の中ニペソツ山に向かう。だが小天狗を過ぎると雪渓が多くなり歩きにくくなる。途中、天狗コルの天場で腰を下す。突然、グウー!という動物の鼻息が聞こえ、後ろでヤブを揺らす大きな音がした。私はとっさにクマスプレーに手をかける。幸い何事もなかったが、進行方向の雪面に山オヤジの足跡がくっきり残っていた。彼も相当驚いたと見え、一目散に逃げた様子を足跡が物語っていた。夕刻、前天の天場に着く、周辺一帯には足の踏場もないほどイワウメが咲きこの世の楽園を思わせる。この荒々しい男性的な山容のニペソツ山にもこんなやさしい表情を見せることもあるのだ。

01.冬のダケカンバ

01.冬のダケカンバ

 青々とした葉を繁らせる夏の木、紅葉し鮮烈な色彩を放つ秋の木もそれぞれにいい。だが深々と雪が降る雪原に雪衣をまといたたずむ冬の
樹にどうしても心が引かれるのはなぜだろうか。ところで最近、十勝岳温泉附近でいい場所を見つけた。車道から深雪をかき分けて行くと実
に心温む空間なのである。深夜訪れると暗闇から木々が妖しく無気味に迫ってくるのだが、朝、陽光を受けると雪の結晶が輝き、幼い頃耳に
したアイヌ民話に登場する木の精が乱舞しているような感覚を覚える。しかし冬山の天気は変りやすく彼女達はすぐ姿を消し、またもとの無
彩色の世界にもどってしまった。この静かな景観も実に心が温む。

02.ヤンベタップ沢のエゾノリュウキンカ

02.ヤンベタップ沢のエゾノリュウキンカ

 高原温泉を訪ねる。今年は雪解けが遅く道の大半が雪に埋もれ、ミズバショウの群落が所々に顔を出しているもののまだ葉が幼く弱々し
い。ヤンベの橋を渡り右回りに行くが残雪で何度も道に迷う。やっとの思いでヤンベタップ沢の右岸にで、さらに上流に進む。やがて空沼よ
り流れ落ちる急流に出たが、ここだけは融雪が進み流れ一面をエゾノリュウキンカが花を咲かせ金色に飾り春の香りを漂わせている。花を十
分堪能した後、空沼まで足を伸ばす。沼は雪解け水をたたえ青々しているものの、周辺の大部分はまだ雪田に覆われ春の訪れが先のことであ
ることを告げていた。

03.残雪の富良野岳

03.残雪の富良野岳

 大雪山系の景観で最も迫力を感じさせるのが上ホロカメットク山頂の展望であろう。私がこの山を訪ねるときは、まず安政火口まで行き、
さらに沢筋を進み上ホロと大砲岩との稜線上に至るのが常で、長年四季を通して登山を重ねてきた。それだけにこのコースには数え切れない
ほどの思い出があり、その時々に出合った人の顔が季節の彩りとともに鮮やかに思い浮かび、私の心を果てしない追憶の世界へと誘う。山頂
に立つと、北に噴煙を上げる十勝岳が、赤茶けた姿で望まれ、逆方向には富良野岳が残雪を配しそびえ、後方には芦別岳が峰を連ね迎えてく
れた。

04.化雲岳を彩るチングルマ(7月初旬)

04.化雲岳を彩るチングルマ(7月初旬)

 午後、淡路島から訪れたという方と同行し天人峡温泉を発ちヒサゴ沼に向かう。途中多数の風倒木が道を塞ぎ思いのほか時間をロスし、日
没でやむなく登山道に幕営するはめになった。翌朝快晴、手早くテントを撤収し懐中電灯をたより出発する。化雲岳を下るとすでに朝日が
花々を浮かび上がらせ、その背後にはニペソツ山が展開し、まさに花の楽園大雪山を象徴するかのような光景である。撮影が一段落した後ふ
と同行者が花を愛でる姿が目に入る。以前からこの大雪山には豊かな内面性に裏打ちされた女性の姿が似つかうと思っていたが、まるでアイ
ヌ民謡の一場面が再現されたかのような光景である。私は時間が古き良き時代に逆戻りしてしまったかのような奇妙な感覚になり、つい見
入ってしまう。

05.高原温泉の紅葉(バック・石狩山系)

05.高原温泉の紅葉(バック・石狩山系)

 高原温泉は盆地地形のため寒暖差が大きく、毎年見事な色彩で訪れる者を魅了する紅葉の名所である。日本で最も早く紅葉の季節を迎える
大雪山だけに、十月の声を聞くとさすが紅葉も盛りを過ぎたという感を否めないが、それでも登りはじめると登山道を黄葉したミネカエデが
金色に飾り迎えてくれた。だが大学沼を過ぎるとダケカンバ、ナナカマドが茶色に枯れ落葉をはじめている。しかし道を進みふと振り返える
と、どうしたことか、まだこの一帯だけは枯れず黄・紅色に輝き、その背後には石狩連峰が連なる。まるで行く秋を引き止めているかのようだ。

06.厳冬の旭岳を行く

06.厳冬の旭岳を行く

 数日続いた吹雪が嘘のように晴れ上がる。風雪がいかに激しかったかを示すように巨大なシュカブラが幾重にも雪面に刻み込まれている。
この旭岳周辺一帯で最も好きな場所が夫婦沼より望む山の姿である。夏、雪解け水をたたえコバルトブルーに輝く沼も、吹き溜りの雪に埋も
れ北海道第一の高峰の雄大さを演出しているからだ。撮影中、岡花博文氏のパーティーが通り、暫し山談義に花を咲かす。大雪山国立公園自
然指導員をしている彼には山で随分お世話になった。それにしても今日まで沢山の出合いに恵まれたものだ。確かに山は素晴らしい。だがそ
れら一つひとつの想いを重ねると山は一層輝きを増す。来る年はどんな出合いが待っているのだろうか?とふと期待に胸がはずむ。

07.撮影マップ

07.撮影マップ

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